日々の出来事を中心に、色々なことを書いていくつもりです。
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2010年08月11日 (水) | 編集 |
修行が始まって、すでに十日近くが経った。
最初に少女が言っていたように、修行内容は基礎鍛錬や武器の素振り、
そして割ることのできなかった大木に挑戦すること、などなど。
毎日がその繰り返しであった。

そして、アモールは一つの境地へと達していた。




「へい、師匠! 待たせたなーっ!」
どんっ、と音を立ててテーブルの上に置かれた一つの皿。
上には小屋の近くで取れた贖罪をふんだんに使った、
見事なまでの料理が盛り付けられていた。
「おー、待ちくたびれたのじゃ。お腹がペコペコなのじゃよー」
「たんまり食ってくれよー。たくさん作ったんだしな」
「うむ。では、いただきます!」
行儀よく手を合わせて食事を始める少女。
そんな姿を見て、「娘ってこんなものなのかなー」と考え、
アモールは思わず顔をほころばせた。
と、不意にその動きが止まる。
「ん? どうしたのじゃ、アモール?」
アモールの様子に気づいた少女が声をかけてくるが、彼はそれには答えず、
おもむろに壁のほうを向いて、

「俺、なんでクッキングマスターになってんだよっ!」

勢いよく、手に持っていたおたまを壁に投げつけた。
「これ! おたまを大事に扱わんかー!」
そして、少女の拳が盛大にアモールの顔面を殴りつけた。

* * *

「して、アモールよ。ちと大事な話じゃ」
「いきなり真面目な顔してどうしたんだ、師匠」
「大事な話と言っておろうがっ! この筋肉脳味噌めっ!」
再び盛大な音を立てて顔面を殴られるアモール。
もはや、顔が原型を留めないのではないかと心配になってくる。
「……で、真面目な話ってのは?」
急にキリッとした顔になってアモールは聞き返す。
いつになく真剣な表情である。彼の中で、こんな表情をしたのは妻に求婚した時以来か。
「うむ。……しかし、お主にシリアスな顔は似合わん。いつもの調子でよい」
「そりゃないぜ、師匠!」
「うっさいのう。話ができんではないか」
「あ、すまねえ」
少女のその反応に、どことなく自分の妻に被る部分を見出し、
なぜか縮こまるアモールであった。
一つ言っておくと、彼は妻には頭が上がらない。
それと似ている。
「で、話というのはの……ちょっとした占いをしてみたら、近々、自由都市方面でよくないことが起こりそーな、起こらなさそーな予感がしたのじゃ」
「曖昧だな。師匠、占いってどんなのだ?」
「む? こういうのじゃ」
言うや、少女は傍にあった棒を持ちあげると、軽く立てた後に指を離した。
すると、当たり前だがバランスを保てない棒はぽとりと倒れる。
それを見て、少女は得意げな顔になり、
「うむ、やはりなにかが起こりそうじゃ」
「いや、どう考えてもただ棒っきれが倒れただけだろっ!?」
「むっ! ケチつけるのか、この大馬鹿者っ!!」


――しばらくお待ちください(なにやら盛大に殴られる音と、アモールの悲鳴が聞こえる)


「だから、なにかが起こりそうなのじゃ、自由都市のほうで。わかったであろうな?」
「…………はい」
数分後、ボロ雑巾のようになってしまったアモールは少女の言葉に、ただただ静かに頷いた。
「もしかしたら、主の仲間とやらも巻き込まれる恐れもあるしの……」
「なにぃっ!?」
「ちとキツイが……アモール! 修行の最終段階に入る!」
「おおう! で、俺はなにをすればいいんだ!」
「うむ、あの木を見事に倒してみせよ!」
ビシッと指差した先にあるものは、最初の時に倒すことのできなかった大木。
「アモールよ、これはもうしばし後になってから伝えようと思っていたが、そう言っていられなくもなった。だから、いま言うぞ」
「し、師匠……!」
「あの大木を倒せる自分をイメージするのじゃ。もしくは、あの大木こそをお主が倒すべき相手とイメージして立ち向かってみせい! そして、勝てない、できないなどは思わず、当たって当たって、当たりまくるのじゃ。お主に足りないのは……心の強さ!」
「心の、強さ……!」
今のアモールの目には、小柄な少女の後ろに色々なものが見えている。
この少女に弟子入りしてよかった、とアモールは今こそ本心で思っていた。
「わかったぜ、師匠! 俺はやるぜ!」
アモールは勢いよく駆け出し、大木に向かって蹴りを入れる。
しかし、やはり大木はびくともしない。が、それでも諦めずにアモールは次々と大木を殴ったり、蹴ったりしていく。
「全然ダメじゃ! そんなもので、そやつは倒せんぞ! 主のありったけで攻めよ。お主の、その力の源はなんじゃっ!!」
「……っ! へっ、師匠、そんなの決まってんじゃねえか」
大木を倒すために必死になりながらも、アモールは口元に笑みを浮かべた。
彼にとっての力は、いつだってわかりきったものだ。けど、当たり前のように口にしていたからこそ、本当の意味で大切なものを見落としがちにもなっていた。
一瞬、アモールの瞳には目の前にある大木が倒すべき相手――モロクの姿として映る。
「オメェを失望させるわけにもいかねーしな」
一歩をしっかりと踏み出す。
拳を振り上げ、狙うは大木の中心。

「俺様はアモール! 愛で世界を救う、ドワーフの戦士だぁッ!!」


* * *


「うーむ……しかし、見事としか言いようないのだが、やはり愛とやらをあそこまで声を大にして叫べるのはお主くらいやもしれんぞ?」
「そーか? こんなもん、愛って叫ぶくらい誰だってできんだろ」
「ふむ……バカもここまでくれば可愛げがあるの」
結果として、アモールは見事に素手で大木を殴り倒した。
が、やはり無理したせいもあって手の甲が裂けて血が出たりもしたため、少女の手当てを受けて今へと至る。
「さて、これをもって修行は終わりじゃな。最後は荒療治に等しかったとはいえ……見事にやってみせたのう、アモール」
「へへっ、当たり前だろーが」
「が、休んでる暇はないぞ。仲間が待っておるんじゃろ?」
「おお、そーだった」
アモールは立ち上がり、荷物をまとめ始める。
「しかし、ワシの修行を最後までやってのけてみせたのはお主が初めてじゃ。やることやって、また落ち着きでもしたら顔でも見せよ。その時は、もっともっと強くしてやろうぞ」
「へっ、師匠。そんなことしたら、俺に惚れちまうぜ?」
「いや、それはない」
まさかの即答であった。
「それにお主、何歳じゃ?」
「ん? 49歳だが、年齢なんて聞いてどうす……」
「なんじゃ、一つ下だったのか」
「は……!?」
ピシッと石のように固まるアモール。
いま、この少女は彼の年齢を聞いた後、なんと言っただろうか。
聞き間違いでなければ、たしかに一つ年下と言っていた。
「師匠……気のせいか、一つ年下ーって聞こえたんだが……」
「ん? ワシはもう50じゃ。主より一つ上のな」
「なん……だと……!?」
アモールの体が急にわなわなと震え始める。
「どうしたのじゃ、アモール」
「いや話し方とか気になっちゃいたんだが……さすがにつっこんじゃいけねーよなと思ったんだよ。けど……まさか……本当に……!」
「うん?」

「ロリババァじゃねぇかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「乙女に向かってなにを言うか、この痴れ者おぉぉぉぉぉぉっ!!」


いつも以上に強い少女の拳が、アモールの顔面を直撃する。
あとになってアモール自身は語るのだが……その時の一撃こそ、師匠の本気の一撃だったんじゃないか、と。

そしてアモールの体は盛大に空へと飛んでいった。
自由都市ヴェルム方面に向かって……

「まったく……達者でのう、アモール」


* * *

自由都市ヴェルムから少し離れた位置にある平原。
「うおあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
まるで隕石の如く、アモールは地面へと叩きつけられる。なぜ、こんな目にあっても無事かは、突っ込んではならないだろう。
数十メートルにわたり地面を抉って、アモールの体はようやく止まった。
「い、てててて…ちくしょー、あのロリババァめー」
体を起こし、周囲を確認してみる。
と、よく見ると遠方にではあるが、自由都市の街が見えた。
「不幸中の幸いってやつか? あー、いや、なんでもいいか……ひとまず」
くるっと回れ右をして、アモールは自分が飛んできた――つまり、師と仰いだ少女(の姿をしたロリババァ)がいるであろう方向を向き、一度だけ礼儀正しく頭を下げる。
「世話になったな、師匠!」
はたして、その言葉が彼女のもとまで届くかはわからないが、
アモールは再び回れ右をすると、自由都市に向かって走り始めた。

短い修行期間の中で得たものを、胸に秘めて。
そして、愛で世界を救うために、ドワーフのちっちゃな愛の戦士は、走る。


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柊「まずはじめに……すんません、ちょっとやっつけ気味の作品になってしまいました」

少女「ちゃんと期間を考えて書かぬからじゃ」

柊「色々とあったんだよ」

少女「ところで主、ワシの名前は結局ないのかえ?」

柊「ないです。思いつきませんでした。いや、テキトーでもいいかなと思ったのですけど……
もうここまで来てしまったんだから名前なしでいいかなーとか思って」

少女「怠慢じゃ、こやつ、めんどくさがりおった」

柊「なんとでも言え。お前の出番、ここでおしまいだし」

少女「まぁ、それは別にいいのじゃが……ワシって最初からロリババァ設定だったのか?」

柊「そうだよ?」

少女「なにゆえ?」

柊「俺の新しいキャラクター性模索の結果、かな。あと、最後の方にあったみたいに、アモールにああやって叫ばせてみたかった」

少女「主……ふざけたのぉ」

柊「アモールにシリアスは似合わねえよ」

少女「そうか……まぁ、しかしこれでアモールは次の戦いには間に合うのじゃな」

柊「中身(背後)はいませんがね!」

少女「なぜじゃーーーーーっ!!」

柊「俺だってそう言いたいよ! でも色々と用事が入っちまったんだよ!」

少女「うぅむ……なら仕方ないのう」

柊「そういうこと。さて、じゃあここらでお開きにしようか」

少女「うむ! なんとも拙い文章であったが、全三話読んでくれたものには感謝じゃ!」

柊「いやー、もう自分の文章力の低さに泣きつつ、楽しみながら書きました。読んでくださった方、どうもありがとうございます」

少女「ああ、そうじゃ。ワシの名前、募集中じゃぞー」

柊「こら、勝手なこと言わないの。まぁ……素敵なのを考えてくれた人がいたら、つけなくはないかも? その辺りは俺の好みとか出るので、絶対とは言えませんが」


完成させて上げるの忘れてた…(てへっ
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コメント
この記事へのコメント
アモール間に合った!
やったぜ、第3部完!w

そしてまさかのロリバww
【やったな!】
2010/08/12(Thu) 22:09 | URL  | カルディア #wLMIWoss[ 編集]
ロリババア大好きだ!
そして、アモールお帰り!
2010/08/12(Thu) 22:55 | URL  | 御剣 #Knya96cQ[ 編集]
アモール完結乙w
本編での活躍も期待!
2010/08/13(Fri) 02:07 | URL  | ぴろしき #-[ 編集]
>全員
ありがとう
ひとまず、最後まで楽しく書いてましたっ!

そして、本編にも背後ともども急遽参戦!
やはりアモールでシリアスムードは難しいぜっ!
2010/08/13(Fri) 23:39 | URL  | 柊 #-[ 編集]
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